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プログレッシブ英和中辞典第5版

入手してから1か月足らず、そんなに引き込んだわけでもないけど、新刊の小学館『プログレッシブ英和中辞典』第5版について記録しておこう。 紙面の美しさは前の版から比べると飛躍的に向上している。これなら普段から手元に置いて気になる単語をすぐに調べる…

戦争の定義

某英和辞典の読者から、アヘン戦争の項(詳しく言うと opium の項の分離複合語 Opium War の記述)について、別の某英和辞典の記述と違うではないか、という叱責めいた指摘をいただくことがたまにある。僕の担当した辞書では、開戦した年が1840年となってい…

ジーニアス和英辞典第3版

11月に出ていた『ジーニアス和英辞典第3版』について、箇条書き的にでも目についたところを書いておかないと、この日記の存在意義がなくなると思ったので一応書いておこう。なお奥付の発行年月日は2011年12月10日になっている。 ハイブリッド方式はどうなっ…

twitterの代わり

twitterに投稿できなかったのでこちらに。 Yahoo!辞書の英和に『新グローバル英和辞典』が入ってるのに今気づいた。前からだっけ。どの版だろう、と思って見てみた。著作権表示のページによると、(C) Sanseido Co.,Ltd. 2006 となっているけど、これは紙の版…

辞書作りの舞台裏(2)

辞書の約束事 辞書の約束事で読者の皆さんにぜひ押さえておいてほしいことは、まず第一に、どこに何が書いてあるかという情報です。ほかに、いろんな記号類があるので、これも覚えておかなければならないような気になりますが、そんなに難しいものではないの…

辞書作りの舞台裏(1)

今の勤め先で、ときどき修学旅行などで会社見学に中学生・高校生が見えて、仕事の内容を説明することがある。そのときに使ったレジュメに加筆してまとめておきたいと思う。この会社に入って5年近くになります。その間、ずっと辞書の編集を主な業務にしてきま…

見出し語の選択

『ジーニアス英和辞典』第4版の見出し語はけっこう多いので,どんなのがあるかわりと丁寧に見ていたら,意外と載ってない語もある。たとえば gravure とか。だからどうなんだというわけではなくて,ああそうなんだ,と思ったのでメモ。

subprime

某社のオンライン辞書でsubprimeを引くと,「金利がプライムレート以下の」という訳というか説明が出てくるんだけど,これ違うよね。サブプライムとは「条件がプライムよりも低い」の意であって,金を借りるときに金利がプライムよりも低いんだったら条件よ…

新刊和英辞典

丸善に『ライトハウス和英辞典』(第5版)が出ていたので買ってみた。前の版が今は手許にないのでページ数も項目も比較ができないが,ずいぶん薄くなっている印象。定価も下げているね。本文の最終ページが1418ページ。帯には「基本語重視で収録項目を厳選」…

オーレックス英和辞典・和英辞典

オーレックスといえば東芝が昔もっていたオーディオのブランドで,オーレックスジャズフェスティバルなんてのも主催していた。ジャコ・パストリアスがビッグバンドを率いて来日したのもこのフェスティバルだったかな。 標題の「オーレックス」は上の Aurex …

間違い発見(と思いきや…)

研究社『総合ビジネス英和辞典』を参考にしていろいろ調べているうち,おかしなところを発見。p. 361に indirect とそれを含む分離複合語が載っているんだけど,分離複合語は軒並み indirect の最初の i に第1強勢が表示されている。これ e のところに来るべ…

What's

別のところで書いたけど,TumblrのFAQに What's it cost? という項目がある。これは縮約しない形で書けば What does it cost? で,what's が what does の縮約形を表す例。ウェブページのような,比較的くだけた調子で書かれることの多い場でも,ここまでく…

ジーニアスのへぼい用例

一昨日の例のほかに,ジーニアスの第4版で修正がなされているものの不十分な箇所がある。これは誤りとはいえないが,読者に対しては不親切であり,辞書の記述としては改めるべき箇所ではないかと個人的に感じる部分。 comprise の項,他動詞の語義1と2に,そ…

ジーニアスがこっそり例文を直していた

某所で beginning という名詞の用法について話題になったので,『ジーニアス英和辞典』を見てみた。すると,問題の箇所ではなく用例に変なのがあった(2005年4月1日発行の第5刷)。語義2の2番目の用例。 The company started from 〜s. その会社は小さいもの…

類音

研究社の『英語青年』を読んでいたら,raptureとruptureを同音異義語と書いてある記事に出くわして驚いた。大学教授がそんなこと書くかフツー!? これで連想したのが辞典の「類音」表示。『ジーニアス英和辞典第4版』は,発音に関してはかなり思い切ったこと…

元カレ

一言語学徒さんがG4をほめている。id:k980504:20070202#1170421477 one's former boyfriend を「元カレ」と訳しているのを現代的だとしているのだが,これはどうだろう。「元カレ」という新奇な語を使うことで,英文と訳文でスピーチレベルが合わなくなって…

Works for Me

学校では教えてくれないエンジニアリング英語 #4: Works for meで,works for me は「ぼくのところではうまく動くよ」という意味と知って,へえーと思う。work そのものの意味(「機能する」)からそれほど隔たってなくて,自由連結に近い言い回しのような気…

G4問題点(4)

コンピュータ関係の用語のレーベルに少し疑問がある。(商標)というレーベルがついているけど,それが適当なのかどうかぼくには分からないものがいくつかある。規格[プロトコル]が「商標」というのは抵抗がある。実際のところどうなんだろう。 gopher HTM…

G4問題点(3)

woman の項がちょっとおかしい。 語義1a)があって1b)がない(数字は丸囲み)。第3版では1bを[形容詞的に]として別に立ててあったのだが,今回の改訂でその用例を含めて語義を1つにまとめた。その際にaを取り忘れた単純ミス。しかしこれはただaを取ればすむ…

G4問題点(2)

気づいた点を少しずつ挙げていく。 eye dialect 発音つづり[視覚方言]はあまり拾うつもりがなかったらしく,下記の項目は記載なし。 da (= the) dis (= this) li'l (= little) kinda, kinder はあるが,sorta, sorter^2 はなし。 shoulda(「非標準」と…

G4問題点(1)

『ジーニアス英和辞典第4版』が届いた。まえがきは南出康世先生。小西友七先生の逝去についても付記されている。ぱらぱら見ているが,重要語のフォントがやけに大きいなあ。ちょっと不恰好。 気になったのは助動詞 can の項の記述。語義2の注記。 (1) 感覚・…

you might want to ...

宮川さんの「学校では教えてくれないエンジニアリング英語」は,文字通りエンジニア向けの英語講座だけど,日常生活でよく使われながらも教科書や辞書にはあまり取り上げられていないフレーズが登場しておもしろいので,楽しみにしている。英語教育関係者も…

お買い物

安倍首相が公邸に引っ越して,ついでに渋谷でお買い物をしたというのがニュースで流れていた。 7時のNHKニュースで映っていたのは,東急ハンズの場面と,書店で辞書を手に取る様子。 書店では国語、漢和、英和など各辞典をそろえた(日経ネット) とあるが,…

ワンセグ対応電子辞書

シャープがワンセグ対応の電子辞書発売ってニュースを知ってコーヒー吹きそうになった。テレビに電子辞書か。どういう場面を想定しているんだろう。 「普段はさまざまな情報を電子辞書で引き出し、新しい情報はテレビニュースでチェックするというスタイルを…

ガリバーのやり方

「知ったかぶり週報」11月17日(金)の記事で紹介されていた考え方には考えさせられるものがあった。 業界第一位は、他企業が新機軸の商品を打ち出してきたら、同じような商品をすぐに出し、圧倒的な資本力と営業力で対抗する「同質化戦略」をとるべきなのであ…

abide

『ジーニアス英和辞典第4版』(大修館書店)の内容見本を見る機会があった。a の一部の項目が抜き刷りのような形ではさみこまれていて,前置詞の about や above に『Eゲイト』(ベネッセ)の‘コアイメージ’ばりの概念図が示されているのが目を引く。これは…

determiner

mixiでの某氏とやり取りで,今 determiner はどういう扱いになっているのかという話題が出たので,ちょっと調べてみた。これは日本語としては「限定詞」あるいは「決定詞」と訳されている。どちらが主流なのかはちょっとわからない。まだどちらに決まったと…

組版の問題

『ウィズダム英和辞典第2版』について,english linux farmer さんが指摘している「英単語間のスペース処理が間延びしている箇所がある」というのは具体的にはどこなんだろう。argue の他動詞の用例なんかは確かに間延びしているけど,前半部分だけというこ…

電子辞書時代の終わりの始まり

id:sakaue:20060725:p5 でも取り上げられている読売新聞の記事に書いてあることは,ぼくの周辺では常識だけれども,まだまだこういう認識の一般への浸透は不十分だと思う。つまり,電子辞書の普及は今のところ辞書の発展にはマイナスの効果が大きいというこ…

革装

id:mashco:20060721:1153443326 を見て Pen を買ってみた。あんまり読むところもないのだった。 そこで紹介されているハーブ・ウェイツ氏は装丁家と呼んでいいのかな。欧米の人は未完成品の本を革で装丁させるのがかつては一般的だったので,職業としても成…

辞書はどこまで文法書になれるか (2)

id:zokkon:20060623 のつづき。ただ,標題を「なれるか」にしちゃったけど,別に辞書のほうとしては文法書になる義理はない。 それでも,既存の文法書の弱点を補う可能性があるのが辞書だという面はあると思う。たとえば,「同格のthat節を従える名詞」とそ…

辞書はどこまで文法書になれるか

以前、文法書は突き詰めていけば辞書になるという言葉を目にしたことがある。当たっている面もあるだろう。だからといって辞書は文法書を兼ねるというわけではない。少なくとも現状ではそうなっていない。あくまでも極論。 学習英和辞典で物理的に文法書を組…

eye dialect

一般には「視覚方言」という訳語が与えられ,「文学作品で標準的なつづり字ではなく,発音通りにつづったもので,話し手の無教養さなどを表すのに用いる」(小学館『プログレッシブ英和中辞典』)もののこと(この説明文はちょっとぎこちないけど)。 becaus…

like fun

mixi のとある掲示板で「生徒が『よく売れる』という意味を含む英文を作るのに sell like fun なんて妙な表現を使うのでなんじゃらほいと思って調べたら,『ジーニアス』に出ていたのだった」といった趣旨の投稿があった。確かにぐぐってもほんの少数しかヒ…

誤植発見

物心ついてから,ゴールデンウィークや夏休みは新聞の休刊が多かったり雑誌が1週休みになったりするのがいやだったなー。ネット時代以降も同じで,なじみのサイトが休みの期間中は更新しなかったりするのでちょっとつまんないんだよね。というわけであんま…

全文検索

昨日の朝日新聞朝刊に出ていた広告によると、講談社の日中辞典はCD-ROMに本文データが収録されていて、全文検索ができるのだという。今までそんなのなかったよな。7,350円はソフトウェアも込みの値段なんだろうけど、これがついてなかったとしたらいくらぐら…

mercer

ある学習英和辞典を読んでいて、mercer の訳語に「呉服屋」というのが出ていたので、おいおいそりゃないだろと思ってほかのも見たら、『ジーニアス』『ウィズダム』『レクシス』『ルミナス』みんな横並びで「呉服屋」を載せていた。『アドバンストフェイバリ…

Bruford

Bill Bruford という固有名詞の正しい発音について。円堂都司昭さんの記事 id:ending:20060331#p1 に ビル・ブラッフォード? NO! ブルフォード!! と書いてあったので、へえーと思って調べてみた。昔つづりを見たときに「ん? これでブラフォードと発音…

adult

今日は雨で夾雑物が流されたのか,朝からいい天気で暖かかった。夜はかなり気温が下がったけど。 さて,前から不思議に思っていた英単語の謎シリーズ第2弾。標題の adult は日本語の外来語としては「ダ」に強勢がくる。英語でも一応はそうだけど,a の方に…

to do の役割

前からちょっと気になっていたんだけど,動詞 hesitate の後ろに to do がくるケースは,他動詞 hesitate が不定詞を目的語にとるわけじゃなくて,あくまでも自動詞に副詞用法(?)の不定詞が続くという考え方なんだよね。decline to do なんかの不定詞は他…

辞書の誤植報告

『レクシス英和辞典』(初版第1刷)p. 851 heart の項の COMMUNICATIVE EXPRESSIONS に My heart goes out to. というのがある。訳は「深く同情いたします;あなたがいとおしいです」。heart, goes, out にそれぞれ第2アクセントがついているけど、第1アクセ…

Longman Dictionary of English Language and Culture

今日,JACETの辞書関係の研究発表会があったので行ってきた。 その中で,小川貴宏先生(防衛大教授)の発表で取り上げられた Longman Dictionary of English Language and Culture は,初版は1992年で別に新しくはないけど,改めて存在価値を見直してもいい…

学習辞典と一般向け辞典

id:zokkon:20060315 の続き。 英和辞典の歴史にそんなに明るいわけではないのだが,ぼくの理解では1980年代以降はだいたい次のような感じで流行が推移している。 学習用の英和辞典はそんなにメジャーな存在ではなくて,1970年代ぐらいまでは大人も使うような…

英和辞典の中のプログラミング言語

『レクシス英和辞典』(旺文社)を見ていたら,LISPという項目があったので驚いた。『アドバンストフェイバリット英和辞典』(東京書籍),『ルミナス英和辞典』(研究社)にもある。古い言語である COBOL, FORTRAN はたいていの学習辞書に(『ジーニアス英…

Jamming アップデート

辞書検索ソフト Jamming がアップデートしたという案内が来た。Jamming for Windows ver3.9 になった。 http://dicwizard.jp/jamming.html このバージョンでは新たにidm形式に対応し、以下の3タイトルが使えるようになりました。 ・Oxford ADVANCED LEARNER…

辞書の引き方 -- 最長一致の法則

某所で英文の構造をどうやって見抜くかという話が出た。 Will you sew a button on this shirt for me? この on this shirt が button を修飾する形容詞句ではないことがわかるようになる秘訣というか。 これに対する有力な回答として、磐崎弘貞先生の『英語…

Macmillan English Dictionary

mixi で『マクミラン英英辞典』(以下MED)のことを「なんだか買う気にならない」なんて悪く言う人がいたので,MEDを擁護してみたい。店頭で手に取ってページを一目見ればいい辞書だとわかると思うんだけどなあ。完成度が高くていい辞書だと思うけど,ロング…

新語大賞

『現代用語の基礎知識』は「小泉劇場」というだれも聞いたことのない語を流行語大賞に選んだ。ここのヘタレ加減は、1995年に「拉致」とか「ポア」を選べずに、みんなが確かに耳にしていたけどまさか流行語とは思ってなかったNOMOなんてのを選んでお茶を濁し…

国内版

情報遅いけど、Oxford Advanced Learner's Dictionary 第7版の国内版が旺文社から出ているのを見つけた。洋書が出回ってからもしばらくは国内版が出ていなくてどうしたのかなと思っていたのだが。国内版というのは、日本市場向けに箱や帯を付けたり、英英辞…

フェイバリット英和辞典第3版

id:zokkon:20051105 でもちょこっと触れているが,使いやすい学習英和辞典である東京書籍の『フェイバリット英和辞典』が改訂を重ねて第3版がこの秋に出た。この週末に店頭で現物を見た。あそこで「インスパイヤ辞書」と揶揄するように書いたのは,三省堂の…