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subprime

某社のオンライン辞書でsubprimeを引くと,「金利がプライムレート以下の」という訳というか説明が出てくるんだけど,これ違うよね。サブプライムとは「条件がプライムよりも低い」の意であって,金を借りるときに金利がプライムよりも低いんだったら条件よくなってるじゃないの。書籍版でも同じかな?
実際にはその条件とは金利が高いことだけじゃないと思うけど,まあそこは辞書の領域を超えてしまうだろう。
(下のアマゾンアフィリエイトは本文と必ずしも関係あるとは限りません)
研究社 総合ビジネス英和辞典
研究社辞書編集部
4767434602

新刊和英辞典

丸善に『ライトハウス和英辞典』(第5版)が出ていたので買ってみた。前の版が今は手許にないのでページ数も項目も比較ができないが,ずいぶん薄くなっている印象。定価も下げているね。本文の最終ページが1418ページ。帯には「基本語重視で収録項目を厳選」と書いてある。項目数については,同じく帯に「基本語重視の35,000項目」と大書してあり,その内訳が帯の表4側に「見出し約25,000+成句・複合語見出し約10,000」とある。研究社には『ルミナス和英辞典』もあるし,棲み分けの必要性を考えて賢明な選択をしたといえるのではないだろうか。
造本は,最近の辞書らしくノドのところが開きやすくていい。
中身に関しては,アクセント表記の基準が気になった。単独の語でも複合語/分離複合語でも,強勢の位置を示してあるものと示してないものがあるんだけど,どういう場合にアクセント記号を付しているのか,その基準が今ひとつわからない。例えば,p. 1337 の「よりどころ」で示した訳語のうち,authority にはアクセント記号がついているのに対して,foundation にはついていない。どちらも強勢の位置は規則通りなのだから,両方ともなくて全然かまわないと思うのだが。
もう一つ,これは発見してたいへん驚いたと同時に残念に思ったのだが,「文字化け」が残っている箇所がある。見出しはひらがなの次に漢字表記を示してあるのだが,p. 1296 「やせる」の周辺(つまり「やせおとろえる」など複合語を含む見出し)で,「痩」(もしくは「瘦」)が出るはずの箇所が〓になっているのだ。おそらく正字がコードになくて,ゲラの段階では〓で通して終わりのほうで手動で直すはずだったのが,最終的に直し忘れたといったところだと思うが,これはどうしたことか。経験上,大きな箇所は見落としがちだというのは確かだけれど,4か所も気づかないものかな。ほかにもあるかもしれない,全体の信頼性にも疑いが生じる,と読者に思われてしまうのは大きなマイナスポイントだ。他山の石としたい。
ライトハウス和英辞典<第5版>
小島 義郎 竹林 滋 中尾 啓介
4767422140

オーレックス英和辞典・和英辞典

オーレックスといえば東芝が昔もっていたオーディオのブランドで,オーレックスジャズフェスティバルなんてのも主催していた。ジャコ・パストリアスがビッグバンドを率いて来日したのもこのフェスティバルだったかな。
標題の「オーレックス」は上の Aurex とは違って,O-Lex つまり旺文社の辞典という意味。
http://www.obunsha.co.jp/service/olex/index.html
2001年に上級学習英和辞典が複数の出版社から何冊か同時に刊行されたが,そのときに旺文社が出したのが『レクシス英和辞典』。今回はその改訂版だと思うけど,表向きそうは謳っていない。何らかの事情があるものとは思うけど,あまりおおっぴらにはしたくないのかな。この辞典は最初出たときは装丁がライト・パブリシティの斬新なケースで熱心なファンも多かったけど,売れ行きがあまりよくなかったのか,すぐにケースを変えて出してきた。と思ったら今度は書名の変更。ちょっと不幸な生い立ちを背負ってしまった感じ。
ちなみにそのときに刊行された辞書の中では『ウィズダム英和辞典』(三省堂)がいち早く第2版を出して,高校の先生方からも高い評価を得ている。これはかかわった者として誇りに思っている。大修館書店の『ジーニアス英和辞典』と職員室御用達の地位を二分する現状。

間違い発見(と思いきや…)

研究社『総合ビジネス英和辞典』を参考にしていろいろ調べているうち,おかしなところを発見。p. 361に indirect とそれを含む分離複合語が載っているんだけど,分離複合語は軒並み indirect の最初の i に第1強勢が表示されている。これ e のところに来るべきだよね。
[2008.01.23追記]コメントでご指摘いただいたように,これは私の完全な勘違い。失礼しました。indirect は強勢移動[ストレスシフト]の起こる形容詞で,後ろの名詞を修飾する場合には,前の音節に第1強勢が移動することが多いので,そのことを分離複合語見出しのアクセント表示にも反映させているもの。
研究社 総合ビジネス英和辞典
研究社辞書編集部
4767434602

What's

 別のところで書いたけど,TumblrのFAQに What's it cost? という項目がある。これは縮約しない形で書けば What does it cost? で,what's が what does の縮約形を表す例。ウェブページのような,比較的くだけた調子で書かれることの多い場でも,ここまでくだけることは珍しいように思う。
 学習英和辞典で,what's が what does の縮約でもあることを示しているのは『ウィズダム英和辞典第2版』(三省堂),『レクシス英和辞典』(旺文社)。『レクシス』は(口)というレーベルをつけて示している。『ジーニアス英和辞典第4版』(大修館書店)と『アドバンストフェイバリット英和辞典』(東京書籍)は,what is と what has しか示していない。

ジーニアスのへぼい用例

 一昨日の例のほかに,ジーニアスの第4版で修正がなされているものの不十分な箇所がある。これは誤りとはいえないが,読者に対しては不親切であり,辞書の記述としては改めるべき箇所ではないかと個人的に感じる部分。
 comprise の項,他動詞の語義1と2に,それぞれ次のような用例が示されている(引用の中では訳を省いた)。

Great Britain 〜s England, Scotland, Northern Ireland and Wales. (=Great Britain is composed of England, Scotland, Northern Ireland and Wales.)
England, Scotland, Northern Ireland and Wales 〜 Great Britain.

語義1と2で,意味的に等価な用例を示しているわけである。さらに compose を用いた言い換えも示していることにも注目。こういう言い換えは授業で教師がよくやる行動の一つではないか。言葉の意味や文法事項を図式的に説明するには都合がよい。そして,そういった授業で取り入れやすい記述を大幅に取り入れたことで,ジーニアスは教師から絶大な支持を受けてきた。でも,2番目の例文のような英文に出合うことはどれだけあるだろう。実際の文章では,語義2の用法の場合,このようにいくつかの名詞を列挙したものを主語にするパターンよりも,複数名詞を主語にする文に出合うことのほうがはるかに多いはず。

In Britain women comprise 40 per cent of the total work force. イギリスでは女性が全労働力人口の40パーセントを占める (『ウィズダム英和辞典第2版』)
Today, centenarians comprise the fastest-growing segment of the population. (THE LOS ANGELES TIMES; December 25, 2006)

 ジーニアスに載っているような例文は,教室では役に立つかもしれないけれども,現代英語の実際の姿を反映してはいない。
 ところで,この記述は前の第3版から基本的に変わっていないが,さりげない修正は行なわれている。それは,Northern Ireland をUKの構成要素に入れたこと。どこかから指摘があったのだろう。これで事実関係としては正しくなったわけだけど,例文はいっそう長くなって見にくくなった。どうせ直すなら,もっと本質的なところを修正すべきだったろう。

ジーニアスがこっそり例文を直していた

 某所で beginning という名詞の用法について話題になったので,『ジーニアス英和辞典』を見てみた。すると,問題の箇所ではなく用例に変なのがあった(2005年4月1日発行の第5刷)。語義2の2番目の用例。

The company started from 〜s. その会社は小さいものから出発した

これが,第4版では次のように修正されている。

The company started from small 〜s. その会社は小さいものから出発した

さりげなく直しやがったな。でも,語義2の用法[〜s; 単数扱い]となってるのはそのまま。これ複数扱いの誤りだよね。LDOCE4 も Macmillan English Dictionary (MED) も [plural] と表示されているし,COBUILD の定義文も複数扱いだし。

The beginnings of something are the signs or events which form the first part of it.(強調引用者)