翻訳作法

ユリイカ」が雑誌のくせに ISBN コードをとっているのを知ったのはわりと最近のこと。といっても半年以上はたっているか。2005年1月号 ISBN:4791701291 は「翻訳作法」として翻訳家に大々的にアンケートをとったりしているが,柴田元幸さんを大フィーチャー(表紙も)。研究社の編集者金子靖さんが盛大な提灯記事を書いたり対談したりしている。正直なところ,金子さんは柴田さんをちょっと持ち上げすぎじゃないか,ここまですることはなかったんじゃないかという気がした。柴田さんに関してこういう二次的な文章を読みたいという気持ちを持つ人はあんまりいなくて,むしろ訳業そのものとか紹介文とかを読みたいと思う人のほうが多いんじゃないだろうか。和英翻訳での「野菜と鮭缶」の訳し方の話なんかはおもしろかったけど。
そういえば,夏に出回ったABCの再建を求めるメールには柴田さんの署名があり,唐沢俊一あたりが「とてもひどい文章だ」みたいな調子で厳しく批判していたが,実際に書いたのは金子さんじゃないかとだれもが思ったことだろう。図らずもこのユリイカでの対談で暴露されている。

僕は金子さんがやってくれたABC維持・再建支援の署名活動の仲間に入れてもらった当事者だし

さて,同じ号では未読だが山田宏一中条省平がインタビューした「プロと娼婦」が楽しみ。というか山田宏一が翻訳家としてこういう場に出てくるのは意外に思ったが,翻訳した本も数多いんだな。
あとおもしろかったのは,太田晋さんのXTCネタ。邦盤ライナーノーツの訳詩の欠陥をあげつらうというつまんない企画なのだが,情報量も多いし,XTCという素材がぴったりはまったんじゃないだろうか。XTC好きな人は一読の価値あり。