ぼくの翻訳人生

ぼくの翻訳人生 (中公新書)
ブルーノ・シュルツ全集』(ヤスケン大絶賛の書評を見て買ったけどまだ読んでない)を訳した,ポーランド語その他の大家である工藤幸雄先生の回想録。ゴシップ系のネタも満載,日本語の乱れについてもブツブツ小言を並べる,という必ずしも読後感のよくない1冊だけど,小言のほとんどは共感できるものなのだった。「すべからく」の誤用の話とかね。「21世紀半ばにはまた文学全集の時代が来る」という根拠不明の予言があったりして,ときどき虚を突かれるようにおもしろい箇所が出てくる。しかし3年かけて執筆した割には,裏をとりもしないで書き飛ばした記述がいくつもあったりして,著者自身(+編集者)にとってどういう位置づけの本なのかよくわからないが不思議な味わいがある。