人名の世界史

『人名の世界史』というメインタイトルだけではちょっとわかりにくいが,世界各地の人名について,由来を中心に入門書として解説した本。欧米・東アジアだけではなく世界中に目配りしてあるところがポイント高し。といってもあらゆる地域を網羅しているわけではなくて,アメリカ先住民のように取り扱っていないところもあるが。
世界の人名の形式は「姓+名」だけではない。もちろんミドルネームを持つ文化もあるが,姓のない文化もあるし,名前が複数のパーツからなっていたとしてもその中に姓(つまり家系を表すパート)があるとは限らない。アウン・サン・スー・チーはこれで1つの個人名である。姓のように見えても「父称」であるという例もある。それが後に姓として固定化される文化もあるわけだが,父称のままの段階にある文化も各地に存在する。
そして,多くの人の気になるであろう欧米の人名については,ユダヤ人も含めて多くの分量を割いている。姓だけではなく名の話も,命名の人気の変遷なども出てきて楽しい。
すでに知識のある人にとっては,たぶん分量的に物足りないのだろうが,広く浅く一通りのことが知りたい人にとっては手っ取り早く人名の世界が俯瞰できてありがたい1冊だと思う。

人名の世界史 由来を知れば文化がわかる (平凡社新書)

人名の世界史 由来を知れば文化がわかる (平凡社新書)