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Macmillan English Dictionary

mixi で『マクミラン英英辞典』(以下MED)のことを「なんだか買う気にならない」なんて悪く言う人がいたので,MEDを擁護してみたい。店頭で手に取ってページを一目見ればいい辞書だとわかると思うんだけどなあ。完成度が高くていい辞書だと思うけど,ロングマンやオックスフォードに比べると知名度で一歩も二歩も劣る。でもせっかくこんないい辞書があるのに知る人ぞ知る存在のままにしておくのはもったいない。

これからの英語の辞典で重要視されていくであろう要素として,コロケーション情報(どんな語と共起するか)と連語(複数の語がひとまとまりで特定の意味を持つもの)があると個人的に考えている(なお,「連語」はここではいわゆるイディオムや句動詞からもっとゆるい結びつきのものまで含めて広くとらえている)。で,MEDはまさにこの方向性を非常にスマートに紙面に結実させた辞書といえる。そういうことができるようになったのもコーパス研究の進展の賜物だと言え,たしかマクミランも(三省堂と同様)自社で構築したコーパスの分析結果を利用しているはずだが,随所にその成果が見える。
たとえば,virtually の項を見てみよう。この副詞は,形容詞 virtual から派生したものだから,古いタイプの辞書ではまさに virtual の付属物みたいな扱いしかしていないことがある。でも英語の中で現れる頻度はそれなりに高いから,最近の辞書では独立した項目として,しかも virtual よりも重要度を上にしたりしている。

具体的な記述内容を見ると,

used for emphasizing that a statement is almost completely true:
(例文2つ省略)
virtually impossible/certain/unknown: It's virtually impossible to convince him to eat vegetables.

となっている。特徴的なコロケーションを太字で示してあって, 非常に見やすい。記述自体も,ここまで丁寧に踏み込んでいる辞書は英和辞典では珍しくないが,英英ではそんなにない(ただしimpossible/certain/unknownと並べてもその関連性がいまいちわかんないという意味で,多少疑問符が残る記述ではある)。

同じ語を引き比べると,OALD7も例文中に特徴的なコロケーションを太字で示しているが,Virtually all だけなので,ちょっと中途半端な印象。LDOCE4では "almost -synonym practically" というそっけない説明に例文2つという扱い。

ほかにもMEDのいい点はたくさんあると思うけど,とりあえずはこんなところで。

マクミラン英英辞典(コンパクト版)

マクミラン英英辞典(コンパクト版)