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柴田元幸の誤訳?

スチュアート・ダイベックの『シカゴ育ち』は,「いままで自分が訳したなかで最高の一冊」という訳者自身の言葉が帯に印刷されているので気にかかっていた。このほど初めて読んでみたら,なるほど引き込まれる。でもこういう人情派的なのがお好きだというのは少し意外だった。

シカゴ育ち (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (143))

シカゴ育ち (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (143))

シカゴの東欧移民とその子たちが住む地域での1950年代の生活。エドワード・ホッパーの Nighthawks と同名の「夜鷹」という作品と,それに続く「熱い氷」が好きだ。

ところで,「夜鷹」はこれ自体が掌編集になっていて,その中に駅でコンガを演奏する若者が登場する「交通」という作品がある。

ドラミングに合わせて、エスカレーターがルンバを踊る。それからチャチャチャを、グァングァンコを。

という一節があるのだが,「グァングァンコ」は「ワワンコー(guaguanco)」のことじゃないのかな。原文を見てないから断定はできないが。guaguanco はキューバのリズムの一種。チカ・ブーンに Oye mi guaguanco で始まる歌があったんだよね。gua のつづりで「ワ」と発音するのは未だに謎だ。

あと,Civil Rights Movement のことを「市民権運動」と訳している箇所もあった。『ベスト&ブライテスト』ISBN:4022612614, ISBN:4022612622, ISBN:4022612630の「公民権運動」を使っていなくて,あれっと思ったものだったが,Civil Rights を「市民権」と訳そうと考える動きでもあったのかしら。