ユダヤ問題

フェイ・ケラーマンの『逃れの町』読了。
パレスチナで選挙があってハマスが過半数を取るという画期的な出来事があった中でタイムリーな読書だったが,これ原著が出たのは1994年なんだよね。オスロ合意の直後。たぶん一人の翻訳者(この場合は高橋恭美子さん)に任せているとどうしてもペースが鈍ってきて,時事的な出来事とリンクしているとずれてきてしまうのはどうしたものかね。未訳作品リストがどんどん長くなってきているんですが。
このシリーズは,アメリカに住むユダヤ教徒を主要な登場人物にしてきて,謎解きよりもユダヤ文化の紹介の方に重きが置かれているきらいがなきにしもあらずなのだが,人物が魅力的なので読まされてしまう。最初は「ジョナサン・ケラーマンの奥さんもミステリーを書いている」ということで興味を持ったのだが,今では旦那の方は全然追っかけてなくて,もっぱらこっちを読んでいる。プロットとしては相変わらず謎解きの妙味は薄いかな。でもユダヤ教のことを理解するためのとっかかりとして非常に魅力的なテキストであることには変わりない。
今回は主人公のデッカー夫妻がイスラエルにまで飛び,現代パレスチナ問題にまで肉薄するので,それなりにおもしろい。

そういえば今作では旦那の人気シリーズの登場人物であるマイロ・スタージス警部(職位は覚えてない)がチョイ役で出てきている。なんと息子も作家としてデビューするようで,どこまでこの一家に稼がせるんだアメリカ人は。

逃れの町 (創元推理文庫)

逃れの町 (創元推理文庫)