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Longman Dictionary of English Language and Culture

今日,JACETの辞書関係の研究発表会があったので行ってきた。
その中で,小川貴宏先生(防衛大教授)の発表で取り上げられた Longman Dictionary of English Language and Culture は,初版は1992年で別に新しくはないけど,改めて存在価値を見直してもいい気がしてきた。
イギリス系の英英辞典は(一般向けも学習用も)伝統的に,百科事典に載るような項目はなるべく載せないという方針をとってきたが,英文を理解する上で固有名詞をはじめとする文化的・百科的語彙を無視することはできない。そこで,そうした項目を重点的に取り上げた辞書としてロングマン社が作ったのが Longman Dictionary of English Language and Culture である。一方,オックスフォード大学出版局からは似たコンセプトで Oxford Guide to British and American Culture ISBN:0194311295 というのが出ている。
そうした項目に関する背景知識や含意を得るにはこういうタイプの辞書が一番。たとえば Seattle といえば,「米ワシントン州にある港湾都市」というだけではなくて「美しい都市として憧れる人が多くてコーヒーがうまいことで知られる」とか,そういう感じの連想をするのは外国人には難しいけど,この辞書があればそれを補ってくれる。

Longman Dictionary of English Language and Culture
0582853125

でもこういう辞書こそ Wikipedia なんかですぐに代替できてしまうから,今後は難しいだろう。発表者はライバルとして,はてなダイアリーまで挙げていて驚いた。
というわけで紙の辞書ならではの説明の簡潔さとか信頼性で売っていくことになるかな。[追記:発表の中では信頼性について特に触れられていたわけではない。あくまでもzokkon個人の印象にすぎない]
でも説明まちがってない? Caesar, Julius の項(LDELC3)

[...] took control of the government of Rome and changed it from a republic to an EMPIRE, making himself the first Roman emperor.

普通カエサルを初代ローマ皇帝とは呼んでないと思うが……(LAADも同じく emperor 扱い)。あとマイクロソフト本社の所在地はシアトルじゃなくてレドモンドなんだけど,それくらいは見逃してやるか。