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セレブの現代史

最近,海野弘の著作が文庫や新書でよく目につく。単行本も出ていて,第何次かのブームといえるかもしれない。いや,ただのいわゆるマイブームか? おかげで文春新書の4月の新刊のうち2冊も買うはめになってしまった。まあファンとしてはうれしいことである。
ところで,blog を日本語化した「ブログ」と,celeb を日本語化した「セレブ」では抑揚が全然違うのはなぜなんだろう。celeb は celebrity の略で,略す前と同じく第2音節に強勢がある。それなのに日本語したものは「毛ガニ」や「せむし」のような平板なアクセントではなく,「セ」を強く発音している。不思議だ。NHKのアナウンサーが「ブログ」を「セレブ」と同じように「ブ」に強勢を置いて発音したときにはあんなにバカにしたくせに。同様に,「ハイソ」といういささか品のないカタカナ語も,東京アクセントでは「太祖」と同じような抑揚で発音する。このあたりに日本の一般庶民の言語感覚と階層感覚のかかわり合いを解く鍵があるのかもしれない(たぶんわかる人はそんなにいないと思うけど海野調をちょっと真似してみたんですよ!)。

セレブの現代史 (文春新書)

セレブの現代史 (文春新書)

この本では,タイトルから連想するような現代(1960年代以降)のたとえばケネディ家の話ではなく,1910年代からのハリウッドのやり方,特に俳優の売り出し方の豪快さを示すエピソードを最初の方に持ってきていて,さすがこういう話は海野氏でないと書けない,という作り。そういう意味では,タイトルもさることながら,「人はなぜセレブに憧れるのか」というコピーの横にグレース・ケリーオードリー・ヘップバーン以下トム・クルーズデイヴィッド・ベッカムら現代のセレブを並べた帯は,あまり内容に沿ってないというか,海野氏が軽薄なダメ本に手を染めるようになってしまったのかと古いファンを不安にさせるという点でよくない。