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近代辞書の歴史展

神保町の三省堂書店本店で今週末(11月20日)までやっている「近代辞書の歴史展」に行ってきた。
『三省堂国語辞典』の編集主任を務めた見坊豪紀の用例採集カード、通称「見坊カード」(だっけ?)の実物を初めて見た。梅棹忠夫の紹介したB6判の京大式カードを思い描いていたが、もっと縦長の短冊のような形で、原稿用紙としても使えるようにという配慮なのか、升目が印刷してある。また、見出しが目立つように1字分飛び出させてある。紙質まではわからなかったが、思っていたより薄いようだった。
三省堂国語辞典
見坊 豪紀
4385139253

もう一つ興味深かったのは、企業としての三省堂の歴史だ。もともとこの展示は、出版社の三省堂と書店の三省堂書店が創立130周年を記念して共同で企画したものである。この両社は現在では別会社となっているが、もともとは古書店から出発して、やがて新刊書から出版まで手がけるようになり、後に出版事業を不振のため切り離したという歴史的経緯があることを知っている人は少ないかもしれない。
同社の書店事業については僕は詳しくないが、かつては「学生のための百貨店」とも呼ばれる存在で、文具や洋服まで扱っていたそうだ。今の丸善のような業態の小売業者が、昔はもっとあったのだろうか。そして本店には食堂まであって人気だったそうだ。吉村公三郎の映画『暖流』(1939年)にも登場しており、そのスチル写真のパネルも展示されていた。高峰三枝子の名前は出ていたが、もう1人写っていた女優は水戸光子だろうか。

暖流 [VHS]
B00005G28X