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ストーナー

新年最初の読書は2015年4月に買ってあって未読だったアメリカの小説『ストーナー』にした。

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書かれたのは1965年、著者ジョン・ウィリアムズが亡くなってからは忘れられていた作品が、2006年に復刊されたのをきっかけにヨーロッパを中心にまた読まれるようになり、邦訳が刊行された時も話題になった。端正な装丁、「美しい小説」という文字が目立つ帯の惹句、今は亡き東江一紀さんが最期に訳した小説といった断片的な情報から想像していた内容とはかなり違っていた。

裕福ではない農場育ちの少年が新設の農学部に入学するが、英文学と出合い出身校で教職を得て定年まで勤め上げ、亡くなるまでの物語。タイトルは主人公の名前だ。思い通りにならない職業生活、波乱含みの家庭生活。なんというか、身につまされる話だった。いろんなことが好転しそうな局面があり、やがてその期待がしぼみ……という人生の波を主人公に思い入れながら追体験するのは正月らしい読書だった。