ビリー・ザ・キッド死す
1881年7月14日、米国の西部開拓時代を代表するアウトローの1人、ビリー・ザ・キッド Billy the Kid ことウィリアム・H・ボニー William H. Bonney がニューメキシコ州(当時は準州)のフォート・サムナーで保安官のパット・ギャレット Pat Garrett に殺害されました。
ニューメキシコ準州のリンカーン郡での有力者同士の抗争、リンカーン郡戦争に参加して生き延びた後、かつては仲間だったギャレット保安官に逮捕され投獄されましたが脱走、再び彼を追跡したギャレットに探し出されて射殺という経過をたどりました。ビリー・ザ・キッドは21人を殺して21歳で死んだ左利きの英雄として、映画、小説、ポピュラーソングなどで数多く取り上げられています。
歴史的に重要な事績を残した人というわけではないのに、フィクションなどで人気があり、しかも実像をちゃんと研究している人がいるというところは、日本人にとっての新撰組にも似た存在なのかもしれません。
サム・ペキンパー監督の『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』Pat Garrett and Billy the Kid (1973)は、その後のビリー像にも影響を与えた作品らしいですが私は未見です。ボブ・ディランやクリス・クリストファーソンも出演。
近いところでは、エミリオ・エステベスが主演した『ヤングガン』Young Guns (1988) とその続編『ヤングガン2』Young Guns II (1990) が記憶に新しいところ。
小説では、『イギリス人の患者』で知られる詩人/小説家マイケル・オンダーチェの初期の小説(というか、新聞記事やインタビューなどの体裁を取った散文と詩のコラージュのような作品)『ビリー・ザ・キッド全仕事』が白水uブックスから今年復刊されました。なんとたまたま昨日読み終わったところ。訳者の福間健二氏へのインタビューも必読です。