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とんかつDJアゲ太郎おもしろかった!

原作マンガは全巻そろえていて、実写映画化の話を知ったときから楽しみにしていました。

とんかつDJアゲ太郎」。

フロアをアゲるのもとんかつも揚げるのも本質的には同じ! という思いつき一発で(いや、知らんけど)青年の成長物語を作り上げる力業を成し遂げた原作。やっぱり音楽の話なので、音楽を伴う映像化がなされれば最強ですよね。

いろいろ懸念はあって、主人公のDJ活動に大きな影響を与えるグランドマスターフラッシュ的な名前を持つ黒人DJはどうするのか、そもそもどんな音楽をつけるのか、そしていろいろなエピソードを詰め込んだ物語から何をはしょるのか、といったあたりです。

そうやって待ち望んでいた映画でしたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって公開が延期になり、重要な登場人物を演じる役者が大麻でつかまって公開が危ぶまれる事態に。やっと決まったと思ったら、今度は封切りの直前にやはり重要登場人物がひき逃げ事件を起こすという……。

そうした試練に見舞われた「とんかつDJアゲ太郎」、不入りが伝えられていましたが、初志貫徹して家族で見に行きました。1日は「ファーストデー」として1200円で見られるのです。前日に予約すると、やはり動員は低調なようで、先約の人と十分な距離を取っても正面のいい席が取れました。

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大ヒット上映中!(鬼滅の刃が)

そして当日。長い宣伝が終わって、冒頭から映し出される渋谷の街。もうそれだけで胸がいっぱいです。渋谷に実在するクラブ、WOMBが実名で登場して、上映時間のかなりの部分を占める舞台になるのもいい。映画館のいい音響で、クラブが擬似体験できるわけです。

重要な場面でかかるのがナックの「マイ・シャローナ」だったりベリンダ・カーライルの Heaven Is a Place on Earth だったり、けっこうベタな選曲ですが、こういうところも映画の作品世界にはマッチしていると思いました。あと、Juicy & Crispy という曲が、ある意味テーマ曲っぽいのですが(本当のテーマ曲は別)、これは映画オリジナルとして書き下ろされたらしく、かつて一世を風靡した Brand New Heavies などを彷彿とさせる気持ちいいグルーヴでした。あ、渋谷系へのオマージュなのかな。

伊勢谷友介の演技にも瞠目しましたし、出演者みんな原作のイメージに合っていてよかった。

動画を投稿して有名になる前半のエピソードは原作になくて映画だけの趣向ですが、それはストーリーには今一つ合ってなかったかな。でも2019年の空気感をよく表す試みだと思いました。周辺で起こった事態も含めて、2020年公開の映画として忘れられない1本になりました。

考えてみれば、映画館に行ったのは2020年になってから初めてなんですよね。それが「アゲ太郎」でよかったと思いました。楽しい映画でした。

不本意な興行成績になってしまっていますが、出演者はこれからの活躍が期待できると思います。がんばってほしいです。