朝ドラでまた高知が舞台! 高知出身者でも知らなかったことが続々
NHKの朝ドラ「らんまん」が放送されたのが2年前。今週から始まった「あんぱん」もまた高知が舞台です。こんなに短い期間に何度も取り上げてもらって、他県の皆さんに申し訳ない……なんて、もう高知県人ではないのに思ってしまいます。というか、心の準備ができてない。まあでも、楽しんで見ています。アンパンマンも最初の絵本が大好きでしたし、やなせたかし先生にも敬愛の念を持っていますし。
さて、高知出身者の常としてドラマで心配なのは土佐弁ですが、「らんまん」と違って広末涼子も島崎和歌子もおらず、あまり気を遣っていない感じがありあり。今のところイントネーションが一番自然で安心して聞いていられるのが女性主人公の母親役、江口のりこですね。逆に一番怪しいと思ったのがその夫役、加瀬亮でした。全体に覇気がない印象を受ける(土佐弁でいう「たっすい」)し、どういう役なんだろうな……と思っていたら、まだ第4回の木曜日に亡くなってしまいました! きつい。
語彙的に興味深いと思ったのが、第1回で女性主人公が出張から帰ってきたお父さんから土産をもらったときの台詞、「たまるか!」でした。
これは反語表現で、標準語でも「たまらない」で「我慢ができない」を意味するのでだいたい想像はつくと思いますが、含意するところや使用する範囲がやや異なります。驚きの表現としてよく使われます。
僕はこれを純粋に驚きの表現と解していて、土産をくれた本人に向かって感謝の気持ちを込めて言うのに適当だろうかと疑問を持ったのですが、土佐弁話者らしき人のサイトを見て回ると、驚きつつ感謝の気持ちを表すのにも使うようですね。母語ではない者には難しかった……。これからもこの言い回しは多用されるようですので、注目していきたいと思います。
ほかにも疑問に思って調べたことがあります。
加瀬亮演じるお父さん(役名結太郎)は朝鮮半島への出張に出かける際に、御免与から高知行きの汽車に乗ります。下関から船に乗ると言っていましたが、土讃線でまず高松まで行くとしたら、御免与のモデルになった後免から高知は逆方向です。どういうルートで行ったのでしょう。
しかし調べると、物語の舞台になった昭和2年当時は、四国山地を越える鉄道路線がまだ通じていません。とすると、高知港から船で向かったのでしょう。
そこからどういう経路をたどったのか。下関まで直通の船便があったのか。安直にChatGPTに質問してみると、高知から神戸まで船の定期便があったようです。神戸からは山陽本線か船で下関まで行けます。あるいは、高知港から徳島県の小松島港まで船で行き、そこから鉄道を使って宇高連絡船に乗り継いで岡山県の宇野からまた鉄道に乗るという方法もあったようです。いずれにしても20時間を超えます。下関から先も長旅です。釜山まで船で約12時間、下船して鉄道で京城まで10時間。心臓が弱くなっていた結太郎にはきつい移動だったでしょう。南無南無。