大英帝国の大事典づくり

先日(id:zokkon:20060109)読んだ『オックスフォード英語大辞典物語』の流れで,講談社選書メチエの『大英帝国の大事典作り』を読んでみた。
テーマになっているのは,『ブリタニカ百科事典』とOED, それから『イギリス国民伝記辞典』の3種の事典/辞典。日本では前2者ほどの知名度がない『〜伝記辞典』も含めて3種類にして,イギリス栄光の18世紀の知識人(と国民)の心性を浮かび上がらせたところがポイント。とくにこの3つめが重要なものとされている点がイギリスらしさであるというわけだ。
それから,この3つのいずれにもスコットランド人がかかわっているのは,スコットランドが一方的にイングランドから虐げられてきたわけではなくて,イングランドを利用すべくすり寄っていったという側面の現れであるという指摘はおもしろかった。
OEDに関しては,現代の批判的な見方とそれへの再反論も紹介していて,ウィンチェスターの本とあわせて読むと,より興味深いと思う。
全般に駆け足の紹介という感じで食い足りない人もいるかと思うけど,注に参考文献は示されているので,その先の読書への案内もちゃんとしている。Wikipedia などのインパクトに対する言及もあるし,なかなかよい読み物である。

大英帝国の大事典作り (講談社選書メチエ)

大英帝国の大事典作り (講談社選書メチエ)