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サンデーといえばサイレンスだったのに

山下達郎のサンデーソングブック聴きました。

問題のコメントは、直後からネットに全文の書き起こしが上がっていますね。

anond.hatelabo.jp

いろいろ意外だった点がありました。

まず、松尾潔さんに対して少しは慇懃な敬意を見せるかと思いきや、もう全然会ってなくて年に数通のメールだけ、向こうがスマイルカンパニーに顧問料を払うという関係、と完全に切って捨てました。松尾氏のやり方がよほど腹に据えかねたんですね。

なかでも逆鱗に触れたのはたぶん、日刊ゲンダイに載った文章の締めくくりだったんじゃないでしょうか。達郎が作詞作曲したOPRESSION BLUESの歌詞を引用していました。最新作に収録した反戦の歌ですが、この文脈で使われるということは、「身近にいる被害者を守る姿勢を見せることもせず、弾圧だの銃声だの遠いところに関してきれいごとを訴えるだけでいいんですか」と啖呵を切られたのと同じですからね。「最高の先輩」とかさんざん持ち上げておいて最後にこれ。激怒したとしてもおかしくない。

もう一つは、ジャニー喜多川への変わらぬ敬意を表明したこと。小杉理宇造氏について名前を直接出さなかったのは予想通りでしたが、ジャニーズとの関係は同氏を媒介とするビジネスと割り切っているのかと勝手に思っていました。全然そうじゃなかった。つまり、義理や人情は小杉氏だけに向けられたのではなかった。ジャニー喜多川も含んだ人間関係が構築されていたのだと知りました。

BRUTUS山下達郎特集号が手元に2冊あるのでパラパラ見てみましたが、音楽人としてのジャニー喜多川を評価したような記述は見つけられませんでした。だから音楽を通した結びつきもあるとは認識していなかったのです。かつてサンデーソングブックで初代ジャニーズを高く評価して曲をかけたことがあるという情報は今回Twitterで知りました。

BRUTUSは2018年と2022年に達郎を特集

BRUTUS誌上で印象的だったのは、楽曲提供した近藤真彦についてのエピソードです。筒美京平が手がけた後に回ってきた仕事で、ナンバーワンを取らなきゃいけないというプレッシャーもある。そんな中で闘争本能を燃やした。近藤がそれまでに発表した曲のすべてを聴き込んで、音階が上がっていく発声は弱いが逆に下がっていく順次進行は安定度が高いという特徴をつかみ、メロディーを工夫したとか。ポップ職人の面目躍如です。そういう制約がある環境でベストを尽くすのが達郎は好きなんですよね。

ジャニーズのグループというと、人数はたくさんいるのに歌はだいたいユニゾンで、コーラスグループ愛好家の達郎の指向とは相容れないのかと思っていました。勝手な思いこみだったようです。考えてみれば、達郎と関係の深い KinKi Kids や少年隊なんかはハモっているわけですし。

小杉家・山下家・藤島家の結びつきは本当に強かった。

今回の騒動で音楽業界からは、松尾氏のやり方は恩を仇で返す行為だといった声も聞こえます。周辺の関係者で快く思っていない人はかなりいそうです。一方、達郎のコメントのほうも、書いた文章を読み上げたにしては表面上の礼すら欠く稚拙なものに見えて、そのことには長年のファンとしてがっかりしました。ネット世論では松尾氏の圧勝でしょう。この先どう動くのか、外野として注目しています。