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辞書を使って語彙力をつける

母校の修学旅行生が勤め先に見学に来た。

以前は、会社見学という趣旨から、どういう仕事をしているのかを中心に伝えるべきものだと思っていて、そういう話を組み立てていた(辞書作りの舞台裏)。ここ2年ぐらいで少し考えが変わり、本来の顧客に直に向き合う数少ない機会でもあり、自分たちの作っている商品が何を目指しているのかをストレートに伝えるほうがむしろ相手にも喜ばれる可能性が高いだろうと思い至った。その結果、英語の勉強をするときに辞書をどういう風に活用すれば効果的かということを強調するように変えてみた。ふだんお世話になっている先生の講演からの受け売りなんだけど、生徒からの反応も悪くない。

こんな感じ。

事前にいただいた質問を見て、高校生の皆さんにとってこの会社が出している辞書のイメージというのがわかります。まず思い浮かぶのが国語辞典、それは意味を調べるための分厚い本ということですよね。でも、学習用の二カ国語辞典を作っている立場からいうと、辞書において言葉の意味を伝えるという役割は、極端に言えば半分くらいしかないかもしれません。言葉の意味というより、使い方を知ることができるように、いろいろな情報を載せているわけです。そういうつもりで作っているので、意味を調べるためだけに使うのはもったいない。言葉の使い方を詳しく知るために辞書を使ってほしいのです。

たとえば、「傘」は英語で何というかわかりますか。中学生でも知っているはずです。umbrella ですね。 では、「傘をさす」はどう言えばいいでしょうか。put up an umbrella といいます。意外とここまでは知らない人が多い。英和辞典の umbrella のところにちゃんと書いてあります。これだけでも十分役に立つ情報ですが、今度は put up がほかにどんな目的語をとって、どんな意味になるかとか、疑問が湧きますよね。そこで今度は put のところを引いてみる。そうすると、「建物などを建てる」「掲示や絵などを貼り出す」とか、いろいろな使い方があることがわかります。こういう知識を増やしていくことが、語彙力をつけるということです。英和辞典にはこういうことまで書いてあります。知っているつもりの語でも、辞書を読んでみるといろいろな発見があると思います。