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ローマ字

ちょっと古い話だが,日曜日ぐらいの朝日新聞の投書欄の脇に一般人の投稿(?)による論説を載せるところがあって,そこで公立中学校の英語教師なる人物が「小学校で教えるローマ字は訓令式だが,それは意味がないのでヘボン式にせよ。ヘボン式のほうがグローバリゼーションの世界で通用する表記だ」というような,たわけたことを述べていた。

それはおかしい。ヘボン式で「ち」のことを chi と書いてしまったら,フランス人は「シ」と発音するし,イタリア人は「キ」と発音するだろう。
ヘボン式はアメリカ人が作ったもので,英語圏の人しかちゃんと読めないはず(というか,英語圏の人だって,ローマ字表記の日本語みたいにごちゃごちゃと母音が混じったものなんか読めやしないだろうが)。全然国際的じゃない。

日本語の音韻体系からすれば,「し」は si,「ち」は ti,以下同様…と表記すべきものだ。日本語の規則に沿っているから,幼い小学生でも理解できて覚えられる。それを,英語の音韻体系にも触れないうちに英語の発音を表面的になぞったものを教え込もうとしたら混乱するのは当たり前。英語を教え始める時期に,訓令式とは違うヘボン式という表記体系もあることを,それこそフォニックスとからめて教えるのが本筋ではないだろうか。

もちろん,小学校で英語を教えるのと同時にローマ字も教えるべきだ,そのローマ字はヘボン式で,という主張だったとすれば,それなりに筋が通っているといえなくもない。

でもこれを載せたのが,自社の表記を Shimbun なんて気が狂ったようなローマ字にしている新聞だからな。Shi はともかく,b の前の m はやめてほしい。みっともない。日本語に対する無理解をここまであからさまに出さなくてもいいのに。

最後の n も,たとえば「新聞も」なんて言うときには口を閉じるから厳密に表記しようとすれば m になるわけで,活用変化するわけでもないのに後ろにくる語によって形が変わるのはおかしいから m になることはないとしても,それなら b の前だって m と書く必然性がないわけだ。

ここへはコメントつけにくいようでしたら http://slashdot.jp/journal.pl?op=display&uid=4103&id=153444 へどうぞ。