ジャズヴォーカリスト宮崎幸子さんのアルバム、Fly Freeを入手したのは今年2月のこと。
僕はサインもいただいた。
発売からやや時間は経過しているが、素晴らしいアルバムなので改めて称えたい。
ニューヨークと東京で録音されていて、ニューヨーク在住の日本人ピアニスト宮嶋みぎわさんがNY録音の5曲のアレンジを担当している。これがすごくかっこいい。ボブ・ドロウの軽快なI've Just Got Everythingに始まり、スタンダードのHoneysuckle Roseやキャロル・キングのSo Far Awayといった多彩な選曲も新鮮だ。
キュートなルックスを裏切らない歌声だけど、深みを感じる成分があって、こういう感じはどこかで聞いたことがあると思っていろんな人の歌を思い浮かべた。ヘレン・メリル? アニタ・オデイ? うーん、ピンとこない……。しかし6曲目のジョアン・ボスコの歌と次のワン・ノート・サンバを聴いて、もやもやは解消する。ブラジルの女性歌手の声を思い起こさせるのだ。言語によって発生方法に特徴があり、日本語話者は口先でさえずるように発声し、英語話者は上半身全体を響かせるように発声する。ブラジル・ポルトガル語の話者はどちらかというと英語話者に近いのだろうと思うが、もう少し頭部を使っているというか高い周波数の成分が多いような感じがする(科学的な根拠があるわけでは全然ありません)。宮崎幸子さんの場合、日本語話者らしい部分もあるけれど、個性的な響きがブラジルのジョイスあたりに近い感じがする。
今月の11日と12日には、1年ぶりに日本に帰ってきた宮嶋みぎわさんやこの録音に参加した寺尾陽介氏も参加してライヴをおこなっていて、残念ながら見に行けなかったが、いつかぜひ生でその歌声を堪能したいものである。