“新富裕層”マーケティング (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
- 作者: ポール・ヌーンズ,ブライアン・ジョンソン,桜内篤子
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/05/19
- メディア: 単行本
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だれだったか忘れたが江戸時代の思想家にも「世の持ち上がり」を指摘した人がいる。簡単に言うと,金持ちは年々増えていくわけだ。昔から。だから,ワン・トゥ・ワン・マーケティングなんてのを狙うよりは,持ち上がって富裕になったマスマーケットを狙っていくほうがいい。
その方法の一つとしてイノベーションもあるが,手段はそれだけではない。というわけで,第2部「商品設計の新ルール」のあたりは非常に参考になると思う。
出版業界は見たところ,このマーケティングに失敗しているように見える。実は商品単価はじわじわと上げているんだけど,それに見合った便益を顧客に与えているかどうかは極めてあやしいからね。とくにほかの商品と比べた場合,非常に見劣りしてしまう。でも,電子辞書の成功なんかはこの例に非常によく当てはまるように思える。出版業界でもやっぱりイノベーションはそれなりにあるのだ。開発主体が出版社ではなかったから危機だと思われているが,市場を広く考えればそうでもないのだろう。