英大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドが最終号を発行
1843年創刊の英国の大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールド The News of the World は2011年7月10日、最終号を発行して168年の歴史に幕を閉じました。同紙はメディア王ルパート・マードックが所有する多数のメディアの一つで、その数年前から有名人らに対する盗聴を行っているという疑惑が問題になっていました。この時期にマードック氏が率いるニューズ社は英衛星放送BスカイBの完全子会社化を計画しており、盗聴疑惑がその障害になるのを防ぐためにニューズ・オブ・ザ・ワールドは切り捨てられたのだと考えられました。
疑惑は、2005年の王室報道で限られた関係者しか知らないはずの情報が記事になっていたことから表面化し、下院の委員会で公聴会が開かれるなど追及が行われましたが警察も当初は及び腰でした。しかし盗聴の対象が有名人だけではなく殺人事件の被害者家族などにも及んでいることなどが明らかになり、2011年7月には元編集長でキャメロン首相(当時)の首席報道官だったアンディ・クールソン Andy Coulson らが逮捕される事態になり、廃刊が決定されました。
ニューズ・オブ・ザ・ワールドは日曜のみ発行される大衆紙としては最大の部数を誇っていて、英国の大衆文化には大きな影響を持っていました。ロックバンドのクイーンが1977年に発売した6枚目のアルバム『世界に捧ぐ』の原題は News of the World で、この新聞の名前です(「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と「伝説のチャンピオン」を収録)。ザ・ジャムはこの新聞を題材とした News of the World というシングルを1978年に出しています。プリテンダーズの「チェイン・ギャング」Back on the Chain Gang にも登場します。一般名詞をもとにした固有名詞なので使いやすいという面もあったかもしれません。