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外国語を身につけるための日本語レッスン

三森ゆりか著、白水社から2003年刊。内容が簡潔にタイトルとして凝縮されている。素晴らしい。中身も当然充実している。僕の持っているのは11刷。
以下、抜き書きと内容のメモ。

外国語を学ぶ際には、最初に基本的な文の構文に着目すると、その言語を操る人々のものの考え方がある程度理解できるようです。文の組み立て方を単なる文法として頭に叩き込むだけでなく、なぜそんなふうに組み立てられているのか、その影響がものの考え方や長い文章の組み立て方にどのように反映されているのか、日本語の場合とはどのように違うかなどの点について十分な考察をすることは、一見遠回りのようですが、実は外国語習得への近道になるでしょう。(p. 101)

「対話」で相手に考えを伝える際の、ナンバリングとラベリングの重要性

印象を伝える際にも、構成要素を分析的に取り出して相手に伝えるように日頃から留意すれば、会話も弾むし外国語学習も進歩する。

「どうだった」とたずねる質問には、続けて自分の尋ねたい事柄を具体的に示さなければ、返答者は自分勝手に解釈して答えるので答えが拡散してしまう。

ドイツは、「議論の文化」と呼ばれるほど議論が好まれる社会です。それこそ口角泡を飛ばすように議論をするのに、なぜか喧嘩に発展しないことが私には不思議でした。そのうちにかれらが議論の最中に多用する言葉があることに私は気づきました。それがこの「たしかに(なるほど)……でも(しかし)」です。激しく主張を応酬しあっているのに、「なるほどその点については君の言うとおりだ。僕も認めるよ。しかし、別の観点から考えると……」といった具合に議論が展開するので、お互いに冷静さを失わず、結局のところ喧嘩には至らずに議論をし続けることができていたのです。(p. 156)

道案内の際には、全体の見通しを示した後で、部分の詳しい説明をするとわかりやすくなる

これは当たり前だが日本人はその訓練がなかなかできていないということかな。

外国語を身につけるための日本語レッスン
三森 ゆりか
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