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この詰めの甘さは

旺文社から『日本人英語のカン違い ネイティブ100人の結論』という本が出ている。
『レクシス英和辞典』にプラネットボードというコラムがあって,日本人が間違えやすい項目についてネイティブ100人に「この表現とこの表現ではどっちを使いますか」みたいなことをたずねて答えをグラフで示したりしてるもので,これが好評だったらしく独立させて単行本も出た。それが『詳説レクシスプラネットボード』。

詳説 レクシスプラネットボード―103人のネイティブスピーカーに聞く生きた英文法・語法

詳説 レクシスプラネットボード―103人のネイティブスピーカーに聞く生きた英文法・語法

『レクシス』の弟分的存在の『コアレックス英和辞典』というのが去年出たが,それにもこの企画は受け継がれていて,同じ名前の似たようなコラムがあるのだが,中身は違ったものになっている。そしてこちらも同じように単行本化された。それが冒頭に挙げた書名。
一部には「レクシスのよりもこっちのほうが実際的だしレベルが高いかもしれない」ともささやかれていて,たしかにためになる。「『お気をつけて』と伝えたいときに“Please take good care of yourself.”と言うか」なんて質問はなかなか高度だ。単行本になってコンパクトになったし,ネイティブのコメントや早稲田のバーダマン教授の見解も読めるようになったのはありがたい。良書です。
日本人英語のカン違い ネイティブ100人の結論 (レクシスシリーズ)

日本人英語のカン違い ネイティブ100人の結論 (レクシスシリーズ)

ただねえ,これ編集サイドの責任だと思うけど,魅力を大きく減じている要素が複数あるんだよな。一つはパンクチュエーションのおかしさ。文中に引用符を用いて言葉を引用するとき,引用符内の文末にはピリオドじゃなくてコンマを使うでしょ。いちいちピリオドを使っていて信じがたいほどうざい。

You would say, “I'm sorry.”, but you should also help them. (p. 115)

なんて書いてあるのだ。正しくは You would say “I'm sorry,” but you should also help them. でしょ!? これは由々しきことですよ。

あと,ネイティブに対する質問自体は掲載していなくて,和文に訳した上で質問の構成も変えているらしく,ときどき質問と答えが合ってない箇所がある。pp. 114-5 なんか,「いずれの表現で謝りますか」という問い方で四択なのに,回答のほうの「NATIVEの実際の声!」では This is more genuine than the other responses. なんてコメントを平気で載せてる。その this ってどれだよ……
そして個人的に致命的だと思うのは,フォントのかっこ悪さ。なんで今どきこんな素人くさいゴシック体なんか使うんだよ。もったいない。