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サブスクリプションについて考えてみる

結局、真の大納会は続落で終わりましたね……TOPIX連動のETFは金曜日に売っておいてよかった……。

さて、昨日触れたセントラルスポーツですが、スポーツクラブのビジネスモデルというと、昨今脚光を浴びているサブスクリプションそのもののように見えます。Twitter広瀬隆雄氏が力説していたように、サブスクリプションモデルはこれからの産業のあり方を考える際に避けて通ることのできない重要な要素だと思いますが、スポーツクラブが先駆者として注目されているという話はあまり耳にしません。そのことをヒントにサブスクリプションについて少し掘り下げて考えてみます。

一口にサブスクリプションといっても中身はさまざまですので、いろいろな切り口で分類することができます。プッシュ型とプル型という分類を考えてみました。そのサービスから便益を得るために、消費者側は受け身で待っていればいいタイプをプッシュ型、消費者側の積極的な行動を必要とするタイプをプル型とします。たとえば牛乳配達なんかはプッシュ型です。プル型は、たとえば進研ゼミの通信添削のようなサービスです。学業成績の向上という成果を得るためには、ただ教材の購読をしているだけではダメで、それを使って自ら勉強して答案を返送するという、かなりの手間をかける必要があります。

この分類でいけば、スポーツクラブなんかは典型的なプル型のサブスクリプションサービスといえます。

どんな商品・サービスでも、消費者が便益と対価を比較して対価の方が便益を上回ってしまうと判断すれば購入されないというのは大原則だと思いますが、プル型はその状態に陥る可能性が比較的高いと言えます。便益を得るために消費者が労力を投入しなければならないわけで、その投入をやめてしまうのは簡単ですからね。

事業者側はそうさせないためにいろいろ工夫を凝らしますが、昨今成功しているサブスクリプションサービスでは、その工夫の過程で、サービスをプッシュ型に寄せているという面があるように思います。

上で述べた成功の具体例として頭に浮かぶのは、マイクロソフトのOffice 365やアドビの製品です。いずれもプッシュ型ともプル型とも言えそうですが、ソフトウェアのアップデートという手間を事業者側が引き受ける格好になっているところが肝要です。ほかに、音楽のサブスクリプションサービスも、ある程度の間隔で新しい音源が追加されていきます。テクノロジーの力を使って、プッシュ型に近づけているものだと言っていいでしょう。

これに対して、うまくいかなかった例を挙げると、辞書検索サービスがあります。早くから月額課金制を導入していましたが、必ずしも成功しているとは言い難いようです。三省堂のウェブディクショナリーはサービスを終了して別のサービスへの衣替えを図っています。研究社のKODは好転しているのでしょうか。一部の専門家を除いて、辞書を常に参照する人というのはそんなにたくさんいないと思いますので、単純に対価を上回る便益を提供できていないのだと考えることもできそうですが、プッシュ型の特徴を取り入れることに失敗しているという解釈にも説得力を感じます。

フィットネス産業が最新型のサブスクリプションモデルを取り入れて成長を続けるには、消費者の労力を抑えるための施策を効果的に打つことが一つの鍵になってくるように思います。糸口としてはスマートウォッチなどの新しいテクノロジーの導入といったあたりに可能性を感じます。どの企業がそれに成功しそうなのかはわかりませんが……。