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50代男性が健康と幸福を追求する日常をつづります

2020年の箱根駅伝を見た

年始早々から風邪気味です。元日に緩いパンツ(下着)を穿いてしまい、下半身がすーすーしたまま過ごしたのがいけなかったのでしょう。先月に引いた風邪と同じ症状で咳と痰に悩まされ、年が明けてからは2日の早朝に5km走ったきりです。

今年初めて箱根駅伝のテレビ中継を往路から見ました。これまで同大会は
「どうせ出てるのは関東の私学だけだし」
「日本陸上の底上げには貢献してなくてむしろ弊害の方が大きい」
「わかりやすい物語に回収しやすい構造で健全なスポーツ批評の登場を阻んでいる」
といった理由で敬遠してきました。それでも、近所で練習する選手が出場した年などは中継を見ましたが。

全行程を見たわけではありませんが、長時間にわたってレースの流れを追いながら観戦するとやっぱり感動しますね。

2区の東洋大 相沢選手と東京国際大 伊藤選手の長い競り合いは見応えがありました。10区の國學院大 殿地選手の走りは、熾烈な3位争いに自ら突っ込んでいき最後は抜け出して総合3位をつかみ取るという見事なもので感動しました。仕掛けが早かったので最後はタレるだろうと思って見ていましたが、ヘボ予想を鮮やかに裏切ってくれました。

10区で区間新記録を樹立した創価大 嶋津選手は難病の網膜色素変性症を抱えながら、同じ病気をもつチームメートと充実した設備に恵まれた環境でトレーニングを積んで偉業を成し遂げたそうです。これもわかりやすい物語の一種ではありますが、同じ病気の患者が身近にいることもあり、格別の感慨がありました。

そして総合優勝した青山学院大の選手たちは、全員が力を発揮できたようで本当にすばらしかった。

区間賞を受賞した選手がみんなナイキのヴェイパーフライネクスト%を履いていて、シューズの進化は大きな話題になりましたが、一方で用具への依存が強まることへの懸念も広く共有されることになりました。ほかにも、Twitter為末大氏が指摘した財政面の不透明さなど、従来からの問題点も多くの人に知られるようになったと思います。批評の土壌をつくっていくことを含め、見る側の課題もまた明らかになってきたのだと思います。

箱根駅伝が頂点にあるせいで真に速い長距離走者が育たない」という批判に対してはどうでしょうか。1チーム10人のランナーはいずれもハーフマラソン程度の距離を高速で走り抜けるわけです。底辺の市民ランナーから見たら驚異的なスピードで。最初から山登り・山下りのスペシャリストを養成する感じのトレーニングを重ねているわけではないようですし、マラソンという目標があったとして、そんなにマイナスに働くものでしょうか。今回のレースを見て、潜在能力の高い選手は何人もいるように思いました。駅伝がマラソンランナー育成の邪魔をしているというよりも、一流のマラソンランナーを育てる方法論が未成熟であると考えるほうが妥当ではないでしょうか。

しかしそういう状況も、大会を創設しようとしている大迫傑選手のように自分で考えて行動する人が登場して、少しずつでも変わっていくのだろうと思います。

今年のレースで活躍した選手も活躍できなかった選手も、競技を含めたこれからの人生が充実したものになることを願っています。