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50代男性が健康と幸福を追求する日常をつづります

自転車乗りを扱った小説3編

津村記久子さんへの熱はまだまだ冷めず、『エヴリシング・フロウズ』を読みました。自転車ロードレースを扱った小説だという情報を仕入れていたので、競技自体や選手たちがどんな風に料理されるか楽しみにしていました。

しかし、主要登場人物の一人が中学生ながら高いレベルの競技者だという設定になっている程度で、レースの場面などは出てきません。いくつかの場面で登場人物たちの行動に自転車という存在は大きな影響を及ぼすのですが、それが主題というわけではなかった。

自転車小説を読むつもりだったという意味では肩透かしを食らいましたが、作品自体は素晴らしかった! 大阪の中学3年生はこんなことを考えて日々過ごしているんだろうなあと思えるリアリティで、頭の中の言葉が数日は大阪弁になっていた(今も結構な割合で継続している)感じです。

なぜ津村記久子さんの自転車小説が読みたかったかというと、この分野の代表的な作品とされている近藤史恵サクリファイス』があまり好きじゃなかったので、それを凌駕するものを探しているからです。津村作品では架空のJ2のサポーターたちの群像劇『ディス・イズ・ザ・デイ』も素晴らしくて、津村さんはサッカーと並んで自転車ロードレースの観戦も趣味の一つだと聞いたので、いずれはその主題の作品も読めるんじゃないかと期待しています。

で、『サクリファイス』ですが、自転車ロードレースがどういう競技なのか、フィクションを通じて知りたければ格好の教材でしょう。僕も多くのことをこの作品を通じて知りました。しかし、ドーピングや事故は自転車競技につきものとはいえ、物語を前に進める原動力として登場させるのはあまりにご都合主義と思えて、好きになれませんでした。競技者でこの小説に対する評価が低い人がいるのも当然だと思います。

それで、今度は同じ作者の『キアズマ』を読んでみました。

しかしこれも、主人公を自転車競技に引っ張り込む発端が、事故。もうその時点で読むのをやめてしまおうとも思いましたが、参考になる情報もあるかもしれないと思い、気を取り直して最後まで読み通しました。でも登場人物たちの行動に共感できる部分が少なくて、最初の悪印象が覆ることはなかった。んー、残念。

もう1冊、羽田圭介『走ル』は、競技ではなく高校生がロードバイクでなんとなく遠くまで行ってしまう話です。ついつい親目線で「おいおいそろそろ家に帰れよ」とか思ってしまいました。現実にはありえないファンタジックな話ではありますが、こんなことやってみたら楽しいだろうなとは思いました。そういえば昔読んだ片岡義男の作品に、前線とともに日本列島を北上する話がありました。あれは四輪自動車でしたが。

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『エヴリシング・フロウズ』は文庫で購入、あとは図書館で借りた

次は熊谷達也エスケープ・トレイン』米津一成『追い風ライダー』あたりを読んでみたいと思います。