緊急事態宣言が発せられてからまだ1か月も経ってないんですよね。それなのに、家にいるのが好きな下の子までが「もうこの生活には飽きた」と言う始末。5月6日という当初の期限は近づいていますが、延長は必然だろうという空気が支配的になっているように感じられます。まだまだ先は長いのでしょう。
この状況で個人として気をつけることは……
- ウイルスをできるだけ体内に入れない
- ウイルスが入ってきても発症させない
- 仮に発症しても重症化させない
というところです。
1は、外出機会の縮小、自転車通勤による対人接触の回避、オフィスでの頻繁な換気の実行、マスク着用(によって顔を手で触るのを減らす)、頻繁な手洗い、といったことを心がけています。これによって自分の体内にウイルスを入れるのを防ぐと同時に、他人に拡散するのも防いでいるはずです。
2は可能なのかどうかわかりませんが、俗に言う免疫力を高めるということですね。生活のリズムを保つ、適度に運動するというあたりで達成できていると信じたいところです。
3もどうすれば可能なのかわかりませんが、喫煙の習慣はないし肥満でもないので低リスク群だろうというのが心の支えです。さらに、気休めかもしれませんが、少しでも不調が現れたら早めに漢方薬を使って症状を抑えようと思い、麻黄湯を用意しています。
あと、なるべく医療機関を頼る機会を作らないことも大切です。その点、自転車通勤は高リスクだろうとは思いますが、どちらを取るかですね。
そうやって数か月を乗り切って、治療法が確立するのを願い、日本の居住者が集団免疫を獲得するのを期待しつつ、流行の第2波が来るのに備えるという感じでしょう。
ところで、表題にしたように、ウイルスの開発競争が盛んになっているという報道をよく見かけます。来年までに日本の技術力でウイルスが実用化されるというような寝言を真に受けるのは論外としても、期待する気持ちは誰しもあるでしょう。でもそんなに希望のもてる話なのでしょうか。
悲観的な情報も流れてきます。今回のウイルスでなく、従来型も含めてコロナウイルスに対して有効なワクチンが開発された実績はありません。また、SARS-CoV2(今回の新型コロナウイルス)に対抗するためにできた抗体が症状を悪化させている可能性があるという報告もあるのは深刻でしょう。
新型コロナでも図のように重症化例のほうが抗体が高い報告が複数ありhttps://t.co/r1s9xJL685
— Masahiro Ono 小野 昌弘 (@masahirono) 2020年4月22日
これは安易なワクチン開発に対する警告であり、さらに、
•現在入手可能な抗体検査は生体防御に意味のある免疫を見ていない
•抗体検査はまだ基礎開発段階
•コロナに対する免疫の基礎研究が必要 pic.twitter.com/ykiqIFDzPv
望みはワクチンよりも、治療薬の開発のほうにあるように思えます。
ブルームバーグが現在開発中の治療薬(とワクチン)のいくつかを紹介していました。
その中に、日本で話題のアビガンも含まれています。すでにファビピラビル Favipiravir という名前で(アビガンは商品名)新型インフルエンザに対する備蓄薬に指定されてはいますが、処方には慎重になるべきという注記がつけられています。武漢で患者に投与したら効果があったという論文が理由は不明ですが取り下げられており、あまり有望でないように見えます。有名人が投与されて回復したという話も聞きますが。現政権に近い富士フイルムの子会社が開発している薬剤なので、実力以上に持ち上げられている可能性を念頭に置いておくべきだと思います。
もう一つ有名な治療薬レムデシビル Remdesivir は、米国のギリアド・サイエンシズ Gilead Sciences Inc. (GILD) が開発していて5月にもFDAの認可が下りそうだとのこと。こちらはエボラ出血熱向けに開発されたものの転用です。日本では「志村けんを救えなかった」などという報道もされていますが、どうなんでしょう。
これだけ開発が激化すると、安全性についての懸念が出てきます。拙速な認可で重大な薬害が発生する可能性については十分考慮する必要があると思います。患者100人に投与して、うち70人には効果があり、20人には効果なし、10人には重大な被害が生じた、といった事態はワクチンにも治療薬にも起こり得るでしょう。その10人に対する救済措置が適切にとられる国ならいいのですが、日本でこれまでに起きた薬害の歴史や、HPVワクチンの副反応に関する対応を見ると、運悪くその10人に入ってしまったら国や社会からは切り捨てられることを覚悟しておかなければならないと感じます。そうならないことを祈っていますが。